NuLAND®が、スペシャルニーズのある子供たちへ向けた就学前相談会を開催。そのイベントの模様をリポート!

環境にも子供の身体にも負荷をかけない新時代のランドセルとして話題のNuLAND®が、スペシャルニーズのある子供たち向けの就学前相談会を開催。就学支援コーディネーターや、支援学級や支援学校に就学経験のある子供を持つ保護者が、参加者の質問相談に応える相談会に参加した時の様子をリポートします。

機能性もデザイン性もあきらめない。
目指したのは、プレミアムラインとしてのインクルーシブデザイン

NuLAND®は環境にも子供の身体にも負荷をかけないSDGsランドセルをコンセプトに開発され、2021年3月に誕生しました。発売当初より、今までにはなかった「布製で軽く、オシャレで可愛いデザイン」を兼ね備えた全く新しいランドセルとして話題になり、発売してわずか1年でグッドデザイン賞も受賞。今回、単なるランドセルの展示会ではなく、進学相談会というイベントを企画した理由とその想いを、NuLAND®販売会社RANAOS代表の岡本さんに聞いてみました。

岡本:NuLAND®は新しい選択肢、価値観として誕生したブランドです。今までにはない、「軽いけれど大容量。でもオシャレなランドセル」としてSNSなどの口コミで話題になり、テレビや新聞などのメディアにも取り上げていただきました。同時に発売当初から、従来の硬いランドセルを背負うことが難しかったお子様の保護者様から「これ(NuLAND®)なら背負えた」「支援学校からリュックを指定されていたけれど、NuLAND®なら布製でかつ荷物もたくさん入るので学校側から許可がでた」など喜びの声と応援の声を沢山いただきました。「軽さ」はもちろん、布製で「柔らかい」ことで窮屈さを感じず、実際に使った子供たちからも扱いやすいとの声をいただきました。NuLAND®は開発段階より、そして現在も高い機能性とデザイン性の両方を追求しています。これからもどのお子様も扱いやすいプレミアムラインとしてのランドセルとして進化し、特別なご事情のあるお子様も扱いやすいようなインクルーシブデザインランドセルとして進化していければと思っております。 日ごろからたくさんの応援をいただいている支援学校や支援級に進学予定の保護者様たちのご意見を通して、やはり小学校入学は、ご家族にとっても記念となる大切なライフイベントだと実感しています。そのイベントでフォーカスされるランドセルを通して少しでも社会貢献ができればと、このような会を企画しました。

特別な支援を必要としている子供たちの、情報収集のきっかけづくりを

未就学児で支援学校や支援学級も検討している、いわゆるスペシャルニーズの必要な子供たちを持つ保護者の情報収集の一助になればという思いから企画されたという当イベント。開催場所として選ばれたのは、ITOCHU SDGs STUDIO KIDS PARK。人気のキッズパークを貸し切った理由に、子連れでも安心して参加できるようにという配慮と、親子で遊んで楽しい思い出となる1日を過ごしてもらえるようにという主催側の願いが込められていると感じました。実際にイベントに参加したお子様たちが、キッズパークで時間いっぱい遊んでいる姿も印象的でした。

就学前相談会のイベントに登壇したのは、就学支援コーディネーターの鈴木さん、高校2年生支援学校保護者の佐藤さん、 小学6年生支援学級保護者の小林さんの3名。

鈴木さんは福祉事業所に勤務し、障害児の相談支援・計画相談支援の専門家でもあります。現在26歳になる息子さんは、支援級で小・中学校を過ごし、高校は養護学校を選択したそう。

中村さんのお嬢さんは、生まれてもまなく自閉症スペクトラム症候群の診断を受けました。小学校は支援学校に通い、さらに子供の就労の可能性を広げるためにと、中学3年生の時に東京に居を移されたとの事。自身も職を持ちながら、支援学校で企業就労を目指す我が子のサポートを続けています。

NuLAND®の社員である小林さんは、知的障害児の娘を持つ母でもあります。小学校は支援学級で中学からは支援学校に行くという進路を選んだばかり。特別なニーズがある家庭、進学にあたっての情報収集、共有の場があればと考え、社会貢献の一環として今回のイベントを企画したといいます。

それぞれ、立場や経験の異なる方々が、参加者からいただいた事前の質問に答える形で相談会が進行しました。

経験談を交えながらの、学校選びに関する具体的なアプローチ法や視点の持ち方について

登壇した3名が各々の具体的な経験を交えながら、学校選びに関するアプローチ、自身の考え方を披露。支援学校と支援学級の違いとそれぞれのメリット、支援学校や支援学級を選ぶ際の見分けのポイント、また自身がなぜその道を選択したのかという経緯までをアクチュアルな言葉で語ります。フルタイムで働きながら特別な支援を必要とする子供を育てている親だからこそわかる揺れ動く気持ちと、それを支える教育環境をどのように選ぶべきか、実際にそこに通う子供の様子など、つぶさに語られる一つ一つの言葉に、参加者した保護者の方たちも熱心に聞き入ります。

また、学校選びについてだけではなく、放課後の過ごし方、デイサービスの選び方、就学までに準備しておくべきことなどを、鈴木さんは相談員の立場から、中村さんと小林さんは自分達の経験談として語りました。

鈴木さん曰く、「子供たちは少しずつできることが増え、可能性が広がっていきます。発達の状態は子供によって違いますが、現在の子供の状態が、その子が20歳の時も同じ状態であるというわけでありません」。その言葉を受けて、中村さんは「子供たちはどんどん伸びていきます。成長していくので、保護者は、我が子がどうやって伸びているのかをしっかり観察して、導くこと。安全だけは確保した上で、見守り、その行動範囲を広げてあげることを意識してください」と締めくくった。

トークセッションの内容に関しては、イベントに参加する保護者から事前に相談会で聞きたい質問を受け付けて、登壇者がそれに応えるという方法で進められましたが、セッションの途中にも参加した保護者からさまざまな質問が出て、登壇者との対話が行われました。支援学校や支援学級を検討する保護者のニーズが、リアルに感じられました。

スペシャルニーズの子供を持つ親たちの悩みは、実にさまざま

保護者がトークセッションに耳を傾けている間、イベントに参加した子供たちは貸切のキッズパーク施設内でのびのびと体を動かし、一人一人が自由に楽しんでいました。今回のイベントに参加したAさんには、乳児の頃に大病を患い、身体がとても小さなお子様がいる。「身体が小さくて、一般的な重たいランドセルは難しいのですが、子供がランドセルというものに憧れていて、それでNuLAND®に興味を持ちました。貸切の会場で人数制限が設けられていたので、安心して参加できるなと思って。リハビリを兼ねて少し遠方でしたが参加しました。今はなかなか、安心して自由に遊びに行ける場所も少ないので、思い切って参加して良かったと思います」

今回のイベントの参加者たちに話を聞くと、スペシャルニーズの子供を持つ保護者たちの悩みは、実にさまざま。支援学校に通う子供はリュックを使うのでランドセルは不要だし、支援学級に通うならランドセルを使いたいという要望も。現在、年中の子供を持つ保護者のBさんが、このイベントに興味を持った理由を語ってくれました。「うちの子は通常級がいいのか、支援学級なのか、もしくは他の選択肢がいいのか、まだ迷っている状態なので、ランドセルの展示会にはなかなか足が向かなくて……。子供の進学先に関して漠然とした不安を感じていたのですが、具体的にどこに相談したらいいのかも分からなくて。今回のイベントをたまたま知って、子供を連れて参加しやすい環境が整っていたので、参加しました。NuLAND®のランドセルについては今回初めて知ったのですが、どんな子供でも、その子に合った使い方ができるというところがいいなと思いました。」

実際にNuLAND®のランドセルに初めて触れた保護者たちからは、手にもった瞬間に「まぁ、軽い!」と、その軽さとフィット感に驚く様子や、以前、ランドセル売り場で背負うことに抵抗があったという子がNuLAND®の製品は背負うことができた、という喜びの声が聞こえてきました。

就学前相談会を通じて、伝えたかったこととは

就学前相談会を終えた登壇者たちに、今回のイベントの感想を聞きました。

鈴木:障害児相談支援員として活動をしていて感じるのは、特別な支援を必要としている子供たちを持つ保護者は、子供の成長の過程で決断しなくてはならないことがたくさんあるんですが、そもそも情報を得るのが難しい、必要な情報を得られる機会がなかなかないというのが現在の児童福祉の状況です。保護者の方々は、同じ境遇の方々や、私たちのように実際に支援の必要な子供を育てた経験者たちと話すことで、少しずつ前に進むことができる。なので、企業が率先してこういう機会を作ってくれるというのは素晴らしい取り組みだと思いますし、もっとこういう場が増えてほしいと感じています。

中村:小学校に進学なさる際、定型発達のお子様は行政に決められた学区の学校に通われることが殆どです。発達凸凹をお持ちのお子様に関しては、成長の程度や方向性を保護者の方に一任されるということになり、非常に悩ましいところです。相談先も限られている環境下、さらには最終的には自分たちで子供の進路を決めるのですから。ただ、視点を変えてみれば悩むということは、選択肢が多い、つまりはチャンスであると私は考えます。私は、小学生から高等学校まで娘の進路は支援学校を選択しました。共働き家庭では子供を支援校に通うのは大変なのではないかと思われるかもしれませんが、私は一度もそのようなことを感じたことはありません。おそらく特性に対しての理解が深く情報が多い特別支援学校の方が様々な提案をしてくれます。私はずっとフルタイムで働いています。小学生の頃はスクールバスが近くまで迎えに来てくれ、放課後は、デイサービスが学校に迎えに、帰りは自宅までの送迎してくれてとても助かりました。中々週5日利用するのは難しい(デイサービスの空きが少ない)ところかもしれませんが、情報に対して自分から掴みにいく姿勢や、コーディネーターの方の助けで実現できました。これから先、就学だけではなく、就労のための研修、雇用のチャンスなど、とにかく情報を出来るだけ早く正確に掴むことがとても重要なポイントになります。思い返せば、娘の就学を決める際具体的に相談に乗っていただく先輩保護者との交流は皆無でした。不安が希望になるきっかけになるよう、今回のような場がもっと増えることを心より望みます。

小林:私自身がそうだったのですが、特別なニーズのあるお子様を持つ保護者の方は、就学の際の悩みや不安を持たれている方も多いので、情報共有の場になればと思ってこのイベントを企画しました。支援学校、支援学級、通常級、それぞれによさと特徴があって学校によっても対応は異なります。また成長の過程でお子様にあった環境とサポートを選んであげればよいと思います。同じような境遇の先輩ママや地域に詳しい方とつながりを持つのは大切だと考えます。皆さんにとって、今回のイベントが有益な情報を得るきっかけとなってくれたら幸いです。

子ども達の未来を描く、NuLAND®のイベントを通して感じたこと

NuLAND®の製品は、スペシャルニーズのあるお子様向けと限定しないことで、誰にとっても手に取りやすい製品であり、その間口の広さも魅力であると感じました。また、企業が率先してこのような取り組みを行い、参加者たちが声を上げることで、支援の必要な子供を取り巻く教育環境がより良い方に変わっていくのではないか、そんな兆候を肌で感じることができました。

様々なニーズに対して新しい選択肢が増え、そして選択肢が増えることで子供たち一人一人の学校生活がより良いものになる。そんな未来を描くNuLAND®のイベントは、企業理念の一端に触れるものでした。今回のような取り組みが、これらも定期的に開催されることを願っています。

取材・文/松井佐智子

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